【泉大津人】「歴史を引き継いでいくためには、知ってもらうことから始めないと何も始まらない」仏像を愛する中学生が泉大津の歴史を紡ぐ

【泉大津人】「歴史を引き継いでいくためには、知ってもらうことから始めないと何も始まらない」仏像を愛する中学生が泉大津の歴史を紡ぐ

11月24日、泉大津市の安楽寺で、訪れた人に熱心に話しかけている中学生の姿があった。

「この阿弥陀如来立像は有名な仏師である快慶(かいけい)の作り方に似ています。渦の紋があることから一番弟子の行快(ぎょうかい)の作品である可能性があり、それが証明されると重要文化財に認定される可能性があるほどの貴重なものです。」

安楽寺(泉大津市本町)

仏像の解説を行っているのは泉大津市立小津中学校3年生の北隅さん。この日は「泉大津と仏教美術」という非公開の文化財を公開するイベントで、仏像の解説を行っていた。

仏像の解説をする北隅さん
初めて公開された阿弥陀如来立像(安楽寺)

このイベントは小津中学校の地域で創る探求学習授業の一環として行われており、北隅さんは、この「文化財一般公開プロジェクト」を立ち上げたメンバーの1人だ。普段は非公開の仏像を公開に至るまでの交渉から、イベントのポスターデザインや制作も生徒たちで行った。

小津中学校「文化財一般公開プロジェクト」チーム 
(写真左から)紫藤さん 北隅さん 梅谷さん 元家さん
イベントポスターの写真は北隅さんが撮影

北隅さんは、仏像に興味を持ったという理由だけでこの活動を行っているわけではない。

「昔から伝えられている貴重なものを、私たちの世代が引き継いで守っていくためには、まずは知ってもらうところから始めないと何も始まらないと思います。」

北隅さんは泉大津出身だが、歴史ある文化財が地元にあることを知らなかったという。知ったきっかけは仏像に詳しい学校の先生だった。歴史をわかりやすく面白く教えてくれて、仏像の魅力や美しさに気付いた。

「一番好きなのは袈裟(けさ)のしわのきめ細やかな表現です。時代によって仏像の顔つきが変わるのもおもしろいし、作り手によっても変わってくるので同じ仏像がないというところもすごく面白いと思います。」

阿弥陀如来立像(安楽寺)
北隅さんオススメポイントの袈裟のしわ

像の魅力を語りだすと止まらない北隅さん。今年8月に行われた「中学生の主張大阪府大会」で優秀賞(大阪府教育委員会賞)を獲得するなど、言葉で伝えることも得意としている。

北隅さんの歴史を後世にも残したいという強い思いが伝わったのか、イベントに訪れた人は、「これからもこの活動を続けてほしい」「仏像以外の文化財にも手を広げてほしい」など声をかけていた。

イベント参加者へのアンケート

「将来の夢はカメラマンです。仏像を美しく撮るのも仏様の魅力を表現することだと思っています。」

言葉と作品で仏像の魅力を表現する北隅さん。

今後も泉大津の歴史を発見し、その魅力を泉大津内外に広げてくれることを期待したい。

「今の時代って、仏像って聞いたら古臭いと思う人もいると思うけど、そんなことはないと思っています。宗教も1つの日本の文化であって、偉人の方たちも仏教に関わっている方が多かったりするので、歴史的なものに触れるという点でも風化させずに、引き続き認識を改めて仏像に触れられたらいいと思います。」

【泉大津人】「歴史を引き継いでいくためには、知ってもらうことから始めないと何も始まらない」仏像を愛する中学生が泉大津の歴史を紡ぐ」への1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*